大人の絵本 365日

1日に ひとつ、静かに 心に とどく物語を

特別編

ゆがんだ器のさし絵

ゆがんだ器

― 比べなくていい、そのままでいい ―

陶芸の工房で修業を始めたばかりのリノは、焼き上がったばかりの器を手に取り、肩を落とした。ろくろで挽いたつもりが、片側がわずかにふくらみ、厚みもそろっていなかった。

隣の台には、兄弟子たちが作った、寸分の狂いもない器がいくつも並んでいた。リノは自分の器を布の下にそっと隠し、誰の目にも触れさせたくないと思った。

数日たったある朝、工房を見回っていた師匠が、布の端からのぞく器に気づいて手に取った。光にかざし、指でそっとふちをなぞりながら、しばらく黙って見つめていた。

「隠していたのか」と師匠が聞くと、リノは小さくうなずいた。「ゆがんでいて、恥ずかしくて……」。師匠は静かに笑った。

「まっすぐな器なら、他にいくらでもある。だが、このふくらみも厚みも、お前の手が土に触れた跡だ。同じものは、二つとつくれない」。師匠はその器を、工房でいちばんよく見える棚に置いた。

整った形だけが、価値のかたちではありません。不揃いな線の一つひとつにも、確かにそこにいた手のぬくもりが残っています。

「何も思い煩わないで、あらゆる場合に、感謝をもってささげる祈りと願いによって、あなたがたの願い事を神に知っていただきなさい。そうすれば、すべての理解を超えた神の平安が、あなたがたの心と思いをキリスト・イエスにあって守ってくれます。」

ピリピ人への手紙 4章6節-7節(新改訳2017)

「互いに忍耐し合い、だれかがほかの人に不満を抱いたとしても、互いに赦し合いなさい。主があなたがたを赦してくださったように、あなたがたもそうしなさい。」

コロサイ人への手紙 3章13節(新改訳2017)

「すべて、疲れた人、重荷を負っている人は、わたしのところに来なさい。わたしがあなたがたを休ませてあげます。わたしのくびきは負いやすく、わたしの荷は軽いからです。」

マタイの福音書 11章28節-30節(新改訳2017)